Multimeter in continuity mode used to troubleshoot a pinball machine: the essential tool for every enthusiast

ピンボール必需品リスト:愛好家のための完全ガイド

ピンボール必需品リスト:愛好家のための完全ガイド

ピンボールは家具ではありません。1プレイごとに確実にすり減っていく、重量約120kgの電気機械装置です。ここでは本当に必要なものを一覧にまとめました。実機本体、消耗部品、交換用基板、工具、診断機材、メンテナンス用品、そして結局みんな買ってしまう「ご褒美」まで。価格はすべて2026年7月時点で確認したものです。最初にお断りしておきます。Pinballs Store が販売しているのは交換用の電子基板だけです。トッパー、ネオンサイン、時計、工具、ワックス、アクセサリー類は一切扱っていません。以下は愛好家としての推奨であり、商品カタログを装ったものではありません。

1. 実機本体:実際にかかる費用

最初の落とし穴は、ピンボールに「相場価格」がひとつだけ存在するわけではないことです。以下は実際の目安です(2026年7月、税込)。

区分 実際の価格帯 備考
エレメカ(EM、1960〜70年代) 現状渡し €1,000〜€2,000
プロによるレストア済み €2,000〜€3,000
電子回路は一切ありません。ドライバー1本と根気があれば直せます。
1980年代ソリッドステート(Gottlieb System 80、Bally、Williams) 約 €1,500〜€3,500 幅が広いのは承知のうえです。コンディションとタイトルで大きく変わります。最も手が届きやすい区分であり、そして基板が壊れる区分でもあります。
1990年代DMD機(Addams Family、Twilight Zone、Medieval Madness) 欧州のディーラー経由で €7,000〜€10,000 不動のプロジェクト機なら約 €5,000 から、完璧なレストア個体なら €13,000〜€15,000。コンディションの記載がない「Medieval Madness」の出品情報には何の意味もありません。
Stern の新品(ドイツの正規ディーラー) Pro €7,950・Premium €10,400・LE は €14,275 から フランスでは同じ Pro が €9,000〜€9,600 程度になります。輸送費、流通、マージンの差です。この差は実在するので、驚かないよう頭に入れておいてください。

買い手にとっての朗報もあります。コロナ後のバブルはすでにしぼみました。pinballprices.com の市場データによれば、2025年の中古ピンボールの成約価格は2024年比で約 1.1% 下落しています。詳しくは ピンボールはいくらで買える? と 自分のピンボールの価値は? をご覧ください。

2. 消耗部品:壊れるものと、その価格

ピンボールは「故障する」のではなく「すり減る」機械です。以下の部品は例外的な修理ではなく、あくまで消耗品です。価格は欧州のディストリビューター(ドイツ、税込・送料別)で2026年7月に確認したものです。

部品 価格 なぜ必要か
フリッパー・リビルドキット(2本分) 約 €70〜€72 ブッシング、シャフト、リンク、プランジャー一式。フリッパーが「弱い」「斜めに当たる」と感じたらすぐ交換を。
フリッパーコイル €16〜€25 焼けたコイルはワニスの焦げた匂いがします。実際に起こります。
コイルスリーブ €0.69 70セントの部品で、弱ったフリッパーの力が2割戻ります。
ゴムリング一式 €14〜€29(ゴム)
€19〜€37(シリコン)
€45〜€60(高品位ポリウレタン)
ゴムリングは硬化し、盤面を黒く汚し、跳ね返りを完全に狂わせます。あまり遊んでいなくても2〜3年ごとに交換を。
EOS接点/接点ブレード EOS €6〜€9
フリッパー接点ブレード €10〜€22
マイクロスイッチ €4〜€13
EOS の調整不良は、フリッパーが上がったまま戻らない、または保持力が落ちる原因になります。
ドロップターゲット 1枚 €2〜€13
バンク一式 €37〜€130
きれいに折れます。しかも決まって最悪のタイミングで。
#44/#47 電球 1個 €0.20〜€0.40 消耗品の代表格です。
交換用LED €0.98 から 注意:古い機種では必ず「non-ghosting(ゴースト対策済み)」LEDを選んでください。そうしないとランプが薄く光り続けます。
盤面ガラス(標準強化ガラス) €47〜€85 店頭引き取り限定のことが多く、送料がガラス本体より高くつきます。
低反射/高透過ガラス €188〜€198(欧州)
約 $240(PDI Invisiglass、米国)
プレイ感が本当に変わる唯一の「贅沢品」。照明の下でもボールがはっきり見えるようになります。
スチールボール 1-1/16インチ €1.80〜€2.25 傷ついたボールは盤面を傷つけます。2ユーロですから、迷わず交換を。
リモート電池ホルダー €2.73 このページで最も費用対効果の高い部品です。下記参照。

€300 の価値があるひと工夫。1977年から1991年までのすべての機種で、バックアップ電池は MPU 基板の上にはんだ付けまたは装着されています。液漏れすれば——そして必ずいつかは漏れます——電解液がパターンを腐食し、基板を破壊します。60cm のケーブルが付いた €2.73 のリモート電池ホルダーを使えば、電池を基板から離せます。作業は10分。これで €99 や €349 の基板を買わずに済みます。詳しくは ピンボールの電池液漏れ:危険性、被害、そして決定的な対策 をご覧ください。

3. 交換用基板:当店の領分と、そうでない領分

率直に申し上げます。ここは当店の商売そのものですので、その前提で批判的にお読みください。

1977〜1989年のソリッドステート機では、オリジナル基板こそが構造的な弱点です。腐食性の電池、乾ききったコンデンサー、腐食したパターン、電圧のずれた電源、酸化したコネクター。現代の交換用基板は、この問題を恒久的に解決します。当店の基板は FPGA ベースで、オリジナル ROM を FPGA 上で解釈して動作させます(ソフトウェアエミュレーションではありません)。Plug & Play 設計、電池レス、フリープレイ標準対応、そしてオリジナルのコイン機構もそのまま使えます。

そして限界も正直に書いておきます。交換用基板が直すのは電子回路だけです。それ以上ではありません。すり減った盤面も、固着したターゲットも、焼けたコイルも、狂った接点も、基板では直りません。機械的な不具合を抱えた実機なら、新しい基板を入れても何も変わりません。それは購入後ではなく購入前にお伝えしたいことです。

ピンボールの各基板が何をしているのか(MPU、ドライバー基板、電源、サウンド)を理解するには、ピンボールの電子回路を解説 をお読みください。

4. 工具:本当の最低限と、必要ないもの

工具 確認済み価格 評価
テスター(マルチメーター) 入門機(Voltcraft VC-20)約 €37 税込・Fluke 115 約 €299 税込 必須。議論の余地はありません。€37 のテスターでピンボールのトラブルシューティングの95%はこなせます。Fluke は快適さへの投資です。
はんだごて/はんだステーション Pinecil V2 €67.50・Weller WE 1010 約 €243 税込・Hakko FX-888D 約 €256 税込 最初の修理から必須です。Pinecil(USB-C)は現時点で最もコストパフォーマンスに優れます。
手動はんだ吸取器 €20 未満 部分的な修理には十分。大量のはんだ除去には骨が折れます。
電動はんだ吸取器(Hakko FR-301) 約 €382 税込 基板を丸ごとはんだ除去する場合に限り正当化できる贅沢品。それ以外なら不要です。
インチ規格(SAE)ナットドライバーセット ピンボール用工具フルセットが米国で約 $90 重要:ピンボールのネジ類はインチ規格であり、ミリ規格ではありません。1/4"、5/16"、11/32"、3/8" が必要です。ミリのセットでは決してきちんと噛みません。
盤面サポート/リフター 純正ブラケット約 $50・専用工具(PinJack、PinTisserie)$150〜$280 盤面の下で作業するようになったら導入を推奨。しっかりしたサポートはランプの変形を防ぎます。
ヘッドライト、伸縮式マグネット、点検鏡 数ユーロ 過小評価されがちです。キャビネット内に落としたネジを、月に一度は拾うことになります。
トルクレンチ €200〜€280 正直なところ、不要です。下記参照。

トルクレンチについて正直に書いておきます。Stern、Williams、Bally のどのサービスマニュアルにも、脚部の締付トルク値は記載されていません。出回っている唯一の数値(36〜38 N·m)は、Stern の技術サポートからのメールをフォーラム投稿が又聞きで伝えたもので、メーカーの規定値ではありません。むしろ本当のリスクは締めすぎで、脚プレートのネジ山をなめてしまいます。9/16" のレンチと常識があれば十分です。

5. 診断:実機が教えてくれないことを見る

1980年代のピンボールで問われるのは「壊れているかどうか」ではなく「どこが壊れているか」です。盤面下の接点か、焼けたドライバーか、断線したパターンか。診断の手段がなければ、当てずっぽうで分解することになります。

Gottlieb System 80/80A/80B では、当店の 診断用基板 Lisy80 がまさにその答えになります。正確に言うと、実機のオリジナル ROM を動かす交換用 CPU 基板でありながら、ブラウザからアクセスできる Web インターフェース(LISYcontrol)を備えています。実機の前に立ったままスマートフォンで操作できます。具体的には:

  • スイッチマトリクスのリアルタイム表示:各スイッチが閉(赤)か開(緑)で表示されます。ドロップターゲットを倒して赤にならなければ、原因は基板ではなく盤面の下にあります。これだけで2時間節約できます。
  • ソレノイドのテスト:基板が1個ずつ単発のパルスを送るため、誤って焼き切る心配がありません。
  • ランプのテスト、ディスプレイのテスト(任意の文字を表示できます)、サウンドのテスト、そしてブラウザからのディップスイッチ設定。
  • さらに、Gottlieb で悪名高いリセット基板、System 80 の慢性的なアース問題、そして電池——つまり腐食の原因——も同時に取り除けます。

LISY プロジェクト自体はオープンソース(Ralf Thelen 氏、Creative Commons BY-SA 4.0 ライセンス)で、理論上はご自身で製作することもできます。当店が販売しているのは、組み立て・動作確認済みでサポートの付いたバージョンです。なお、これでコイルが直るわけではありません。コイルが原因だと教えてくれるだけです。

Lisy80 — Gottlieb System 80 / 80A / 80B 用診断基板

完全な Web インターフェース(スイッチ、ソレノイド、ランプ、ディスプレイ、サウンド、ディップスイッチ)、オリジナル ROM 対応、電池レス、Plug & Play。

€199 — 誤使用に起因しない故障に対する6か月の部品・工賃保証+30日間の返金保証。技術サポートは無料です。

→ Lisy80 を見る・「とにかく動くようにしたい」という方には、CPU 基板・ドライバー基板・電源をまとめて置き換える GottFA80_Plus(€349 から)もご検討ください。

6. メンテナンス:良かれと思って傷める人が多い領域

ここは俗説がそのまま出費につながる章です。整理しておきましょう。

  • Novus(1+2+3 キット、約 €17 税込)。Novus 1 はクリーナーで研磨剤なし。日常の手入れにはこれです。Novus 2 は細目の研磨剤(浅い傷用)。Novus 3 は粗目の研磨剤。誰も触れない事実をひとつ。Novus は自社サイトのどこにもピンボールについて言及していません。そして「コーティングされた」プラスチックへの 2 と 3 の使用を明確に非推奨としています。「盤面に安全」という説明はすべて販売店発であり、メーカー発ではありません。ニス仕上げ、またはマイラーで保護された盤面なら Novus 2 はおおむね問題なく使えますが、ニスのない古い盤面では塗装ごと剥がれます。
  • ワックス。純カルナバの固形ワックスであれば何でも役目を果たします(Blitz Wax、自動車用カルナバワックスなど)。シリコンを含む「クリーナーワックス」は避けてください。
  • Millwax は要注意。クリーナーワックスとして売られていますが、実際の主成分はシリコンと石油系溶剤で、ワックスは入っていません。シリコンは木部に浸透し、将来の再塗装を不可能にします(下地が「魚眼」を起こします)。ニスのない古い EM 機の盤面なら許容範囲ですが、ニス仕上げの現代機には向きません。
  • メラミンスポンジ(激落ちくん類)はクリーナーではなく研磨材です。フォーラムでは1200番の紙やすりに例えられています。アルコールと併用すると、汚れではなくニスを落とします。再塗装する覚悟がある場合のみ使ってください。
  • PinSnake(約 $45)。実在するか確認しました。実在します。LED テープでもボール回収具でもありません。ピンボールと同じ直径(1-1/16インチ)の関節式クリーニングワンドで、オービットやトンネル、隠れたランプに通して盤面を外さずに清掃するものです。マイクロファイバークロス(面ファスナー留め)と、黒いボール跡を落とすゴムボールを取り付けます。同社のうたい文句は「ピンボールのためのデンタルフロス」。2024年7月発売、TWIPY Awards 2024(非インタラクティブ・モッド部門)受賞。

当店の手順は ピンボールの清掃:メンテナンス完全ガイド にまとめています。もっと本格的に取り組むなら ヴィンテージピンボールのレストア完全ガイド をどうぞ。

7. わかっていても欲しくなるもの:モッド、トッパー、照明

どれも必需品ではありません。そして誰もが結局いくつか買います。価格は2026年7月時点(米国ブランドは米ドル表記。為替と送料はご自身の負担です)。

カテゴリー 価格帯 備考
Stern 純正トッパー $399.99(汎用)・$999〜$1,499(ライセンス品) 面積あたりの単価が世界一高いモッドです。
サードパーティ/カスタムトッパー $50〜$315 Mezel Mods、Laseriffic、個人の工房など。
復刻トランスライト/バックグラス 約 €70(欧州)〜$300 実機が10歳若返ります。
ミラーバックグラス 約 $250/£250 プレイ用というよりコレクター向けです。
ピンボールのネオンサインや時計 約 $100(標準的なネオン)・$199.99(Stern Infinity Mirror Sign) 実機ではなくゲームルームのためのものです。
カスタムシューターロッド $45〜$100(サードパーティ)・$179.99〜$224.99(Stern 純正) 最も安く、最も目に入るモッドです。
サイドブレード/アートブレード(キャビネット内側) $99.99(Stern)・約 $110(ミラーブレード) 取り付け20分でキャビネットの印象が一変します。
サイドアーマー(金属) $269.99〜$399.99 近年の Stern 機にしか適合しません。
Pin Stadium(盤面照明) $299.95〜$649.95 キャビネット内側に取り付ける LED バー。はんだ付け不要で10〜15分、アプリで RGB 制御、他機への移設も可能。盤面が暗すぎる場合の解決策です。低予算の代替としては Comet Pinball のスポットキット(約 $17 から)。
PinSound(交換用サウンド基板) PinSound PLUS 約 $440 フランスのブランド(Manaud 兄弟)。Data East/System 11c/WPC/DCS 用のドロップイン式サウンド基板で、高音質サウンドパックが使えます。
ColorDMD $439〜$549 1990年代機向けのカラー DMD ディスプレイ。最初の1台には LCD 版が無難ですが、すべてのキャビネットに収まるわけではありません。

世の中に誤情報が多いので、2点だけ補足します。「ハイファイ・ピンボール」という製品カテゴリーは存在しません。オーディオ分野の実力者は PinSound、PinWoofer、そして Pinnovators(照明ではなくオーディオを手がけています)です。また、装備リストに時折挙がる「バックボックス・スタンド」については、その名称の市販品を確認できませんでした。したがって本記事では扱いません。

まず揃える6点:どれかしか買えないなら

  1. テスター(約 €37)
  2. まともなはんだごて(約 €70)
  3. インチ規格(SAE)のナットドライバーセット
  4. リモート電池ホルダー(€2.73)——今日のうちに取り付けてください
  5. ゴムリング一式(€14〜€37)と Novus 1 を1本
  6. お使いのシステムに合った診断ツール(Gottlieb System 80 なら Lisy80、€199)

合計 €350 未満。これが「ピンボールを持っている」と「ピンボールの面倒を見られる」の差です。

FAQ

「PinSnake」とは具体的に何ですか?

ピンボールと同じ直径(1-1/16インチ)の関節式クリーニングワンドで、PFXPinMods が PinSnake という名称で販売しています(約 $45)。オービットやランプ、トンネルに通し、盤面を外さずに清掃できます。マイクロファイバークロスを面ファスナーで取り付けます。LED テープでも配線工具でもボール回収具でもありません——この3つはよくある誤解です。

ピンボールの維持に本当に必要な工具は何ですか?

本当の最低限は、テスター(€37 から)、はんだごて(€67 から)、インチ規格(SAE)のナットドライバーセット(ピンボールのネジ類はミリではなくインチです)、はんだ吸取器、ヘッドライト、伸縮式マグネットです。トルクレンチは不要です。脚部の締付トルク値を公表しているメーカーのサービスマニュアルは存在しません。

Novus 2 は盤面を傷めますか?

Novus 2 はクリーナーではなく細目の研磨剤です。ニス仕上げ、またはマイラーで保護された盤面なら、控えめに使う限りおおむね問題ありません。ニスのない古い盤面では塗装が剥がれます。日常の手入れには、3種類のうち唯一の非研磨性クリーナーである Novus 1 を使ってください。なお Novus は公式資料でピンボールに一切言及していません。

2026年に新品のピンボールはいくらしますか?

ドイツの正規ディーラー(2026年7月)で Stern Pro €7,950、Premium €10,400、LE は €14,275 から。フランスでは同じ Pro が €9,000〜€9,600 程度が相場です。レストア済みの1980年代機ははるかに手が届きやすく、タイトルとコンディションによって €1,500〜€3,500 程度です。

交換用基板さえ入れればピンボールは直りますか?

いいえ。ここは重要なので明記します。交換用基板が直すのは電子回路の問題(MPU、ドライバー基板、電源、サウンド)です。すり減った盤面、焼けたコイル、狂った接点、折れたターゲット、切れたハーネスは直りません。「部品取り」として買った実機なら、機械部品の予算も必ず見込んでおいてください。

Pinballs Store はトッパーやネオンサイン、工具を販売していますか?

いいえ。Pinballs Store が販売しているのは、ヴィンテージピンボール(Gottlieb System 1 および System 80/80A/80B、Williams System 3〜7、Bally(1977〜1985年))向けの交換用電子基板のみです。本記事で触れたトッパー、時計、ネオンサイン、工具、ワックス、アクセサリー類は独立した推奨であり、当店は販売しておらず、そこから収益も得ていません。

出典・参考資料

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